環境が変わったのに、心がついてこない──それが、いちばん苦しい。
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昇進して立場が変わった
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結婚や出産を経験した
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離婚して一人になった
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引っ越して生活のリズムが変わった
周囲から見れば「前に進んでいるように見える」のに、
なぜか心の中は、取り残されたような感覚がする。
「ちゃんとしなきゃ」と思えば思うほど、
頭が回らなくなる。
何をしたらいいかわからない。
感情ばかりが揺れて、現実を動かす気力が湧かない。
そう感じているあなたへ、伝えたいことがあります。
今回の主人公:Mさん(30代・女性・事務職)のケース
Mさんは、つい先日、10年務めた会社を退職し、
新しい土地に引っ越し、結婚を機に新生活をスタートさせた方でした。
いわゆる「人生の転機」。
でも、彼女はこう言いました。
「何もかもが変わったのに、私の中は“空っぽ”なんです」
「どこに立てばいいのかわからない。正直、怖いんです」
“変化”とは、外側の出来事である。
そして“適応”とは、内側の再構築である。
人は、変化することそのものが怖いのではありません。
変化によって、自分の「役割」や「立ち位置」が曖昧になることに戸惑うのです。
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もう前のように振る舞えない
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でも、次にどう在ればいいかもわからない
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何を手放し、何を守ればいいかが見えない
その中で、心が“宙ぶらりん”の状態になる。
その状態を、心理学では“変化の谷(トランジション)”と呼びます
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過去の自分はもう終わっている
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でも、新しい自分にはまだなっていない
この“谷”の中では、不安も、焦りも、喪失感も、同時に押し寄せてきます。
思考はまとまらず、行動も鈍り、孤独を感じやすくなります。
でも──
この谷を通らずに、“新しい自分”には生まれ変われない。
Mさんが抜け出すきっかけになった、3つの問い
セッションの中で、Mさんにはこう問いかけました。
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「いま、何に対して一番“疲れている”と感じますか?」
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「この変化を、どんな“意味”に変えることができるとしたら?」
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「“本当はこうありたい”と願っている自分は、どんな姿ですか?」
彼女は、少しずつ言葉を探すように答えていきました。
「私は、“変化についていけない自分”を責めていたんだと思います…」
「でも、まだ慣れてないだけなんですよね」
「“早く立ち直らなきゃ”じゃなくて、ゆっくりでいいんですね」
変化の谷にいるときに、絶対にやってはいけないこと
それは、**「もとに戻ろうとすること」**です。
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前みたいに頑張らなきゃ
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あの頃の自分に戻りたい
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こんな自分じゃダメだ
そうやって、“過去”にしがみつこうとすると、
“新しい自分”が入ってくるスペースがなくなります。
そして、絶対に忘れてはいけないこと
あなたは、“今のままのあなた”でも、十分に価値がある。
変化の中で動けないのは、「弱さ」ではなく「調整中」だから。
心が“再構築の途中”にあるから。
だからこそ、急がず、でも確実に、“次の自分”を迎える準備が必要なのです。
変化を「脅威」ではなく「チャンス」に変える3つの行動
1. 外側より“内側”を整理する時間を持つ
→ 感情を書き出す/「今の気持ち」を否定せずに見つめる
2. “今の自分”の状態を正確に把握する
→ 無理に前向きにならず、“不安”“迷い”“怒り”も可視化する
3. “新しい私”を定義する問いを持つ
→ 「どんな私でありたいか?」「何を守りたいか?」を深く掘る
Mさんはこう言いました。
「“変わらなきゃ”じゃなく、“今を味わう”ことからでいいんですね」
「変化に巻き込まれるんじゃなく、自分から“変化の意味”を見つけにいく、そんな生き方をしたいです」
▼「変化の谷を越える」再構築セッション
思考も感情もまとまらない。そんな時こそ、ひとりで抱えないでください。
“変わり目”にこそ、人生の軸を立て直すチャンスが眠っています。
最後に
環境が変わるとき、人は一度“立ち止まる”ことを許される。
そしてその静かな時間の中で、ほんとうの自分が目を覚ます。
「ついていけない」と感じるその違和感こそが、
今のあなたにとっての、もっとも大切な“問い”への入り口かもしれません。
焦らなくていい。
でも、止まらないで。
“新しいあなた”が、その先でちゃんと待っています。